☆テレビドラマ版をTverで観て、そしてこの書評を読んで、あらためて
原作を読みたい衝動が沸き上がってきたのでした。。。
原作を読みたい衝動が沸き上がってきたのでした。。。
漫棚通信ブログ版 May 03, 2009 オールタイムベスト『この世界の片隅に』
→''' 『 空襲ですずは、右手を失います。そして彼女にとっては世界が歪んでしまいます。「まるで左手で描いた世界のように」
→''' 『 空襲ですずは、右手を失います。そして彼女にとっては世界が歪んでしまいます。「まるで左手で描いた世界のように」
なんとこれ以後、この作品の背景は、まさに左手で描いたようにつたなく乱暴なものとして描写されるのです。
こうの史代の絵は人物も背景も写実的なものではなく、簡略化されています。だからこそできたであろう、オキテ破りの表現です。赤塚不二夫ならギャグでやったであろう表現が、この作品ではマンガ的内面描写として昇華されました。
さらに作品内に、すずの失われた右手が登場するようになります。すずの右手はすずを救済するためにいろいろ活動することになります。
(1)右手は、まず終戦の日、泣くすずの頭をなでる幻想として登場します。
(2)次に登場するとき、すずの右手は座敷わらしの物語=マンガを描いています。この座敷わらしは上巻の第2回に登場するエピソードですが、読者がまったく忘れていたもの。
一家の生活が苦しく奉公に出された少女が、奉公先を逃げ出し、座敷わらしとして子ども時代のすずに出会い、さらに呉の遊廓で娼妓となり、すずと再会し友人となる。
すずの友人の娼妓、リンは今回の空襲で亡くなっています。彼女はすずに口紅をプレゼントしたことがあり、すずの右手はこの紅を薬指につけてこの物語=マンガを描いている。
座敷わらしとリンを結びつけるのは、すずの右手、すなわちすずによるおとぎ話ですが、これによって彼女自身、そしてリンが救われます。フィクション=マンガのチカラはひとの救いになるのです。
(3)三回目の右手の登場は、幼なじみの水兵、哲との再会シーンです。上巻第3回のエピソードで、すずは彼に「波のうさぎ」の絵を描いてあげたことがあります。
哲と再会したとき、すずはふり返らず通り過ぎますが、すずの右手は、宙に軍艦と波のうさぎを描きます。すずの右手が使うのは、かつて哲からもらった羽根ペンです。
このシーンですずは、自分の役目を「記憶の器」であるとして、生きる希望を再発見します。
(4)すずは被爆した妹を見舞います。彼らには戦死した兄=「お兄ちゃん」=「鬼いちゃん」がいました。上巻にはすずが描いたマンガ、という設定のショートマンガ「鬼いちゃん」も掲載されていました。
すずが言います。
「あー 手がありゃ鬼いちゃんの冒険記でも描いてあげられるのにね」
そこで、すずの右手が「鬼イチャン冒険記」というマンガを描くことになります。
そこで、すずの右手が「鬼イチャン冒険記」というマンガを描くことになります。
このマンガ内では、兄は南洋でワニと結婚し元気いっぱいに生き抜いていました。そしてホントの鬼に変身し日本に帰ってきます。
リアルすずは、戦後の広島の街で鬼となった兄とすれちがいます。しかもこの鬼は、上巻第1回のエピソードで、子ども時代のすずをさらおうとした人さらいの鬼。
遺骨もなく、家族にとって戦死したことも信じられなかった鬼いちゃんは、こうしてすずによるフィクションで救済されます。
(5)全編のラスト。最終回「しあはせの手紙」は、すずの右手がすずに書いた手紙です。
いま此れを讀んだ貴方は死にます
と書いてあってどきっとするのですが、
と書いてあってどきっとするのですが、
少しづゝ 少しづゝ小さくなり
だんだんに動かなくなり
歯は欠け 目はうすく 耳は遠く
だんだんに動かなくなり
歯は欠け 目はうすく 耳は遠く
なのに其れを
しあはせだと
微笑まれ乍ら
しあはせだと
微笑まれ乍ら
と続きます。すなわち、すずは年老いている。彼女は激動の日々を生き残ったのです。よかったよかった。
そして、右手からすずへの最後の贈り物が、戦災孤児の少女。右手は少女のこれまでをつづり、すずと引き合わす。すずは彼女を自分の家に連れ帰ります。家族が増えました。
その時、右手は筆を持ち、世界に色を与えます。モノクロマンガは色づけされ、美しい背景を取り戻します。
すずは救済され、世界は再生されたのです。
(反転終わり)
本書にはマンガでなければ描けない表現ばかりが登場します。これほど技巧的で重層的でかつ叙情的な作品があったでしょうか。
物語の表面だけを追っかけていては、作品の半分も読めていません。本書で読者は、描かれている絵の意味を考えながら読むことを要求されます。そうすれば、眼前にはすばらしい物語が展開されることになるでしょう。
そのとき初めて、下巻のカバーイラストの絵・構図の意味も明らかになるのです。
本年度最高の、いやオールタイムベスト級の傑作です。』 '''
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